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「インドネシアとフィリピン -島々の魅力」
2012年2月9日 - 5月5日

 インドネシアは、熱帯の広大な海域に細長く連なる多島国家です。太古より豊かな天然資源に恵まれ、そのうえ海上を利用しての交易も盛んで海のシルクロードと云われる程、他国の文化の刺激を受けながら独自の染織文化を発展させてきました。バティック、イカットと云う言葉の語源もインドネシア語で今では国際的に広く使われる染織用語になっています。2011年にはバティックがユネスコの無形文化遺産に登録され、その継承が世界に発信されたのは素晴らしい事です。
 日本でも戦前からジャワ更紗は帯や風呂敷に使われたエキゾティックな外来の布の一つでした。しかし、実際に訪れてみると、それぞれの島々には古来から伝わる宗教や伝統のもとに作られた固有の民族衣装があり、文様も技法も多彩で、特にイカット(絣)は、ヌサ・トゥンガラ諸島で藍を基調に腰衣やショールとして織られていました。特に私が強く惹かれたのはスマトラ島やジャワ島北岸、スラウェシ島等、インド、中国、アラブ、そしてヨーロッパとの交易で新しい刺激を受け、時代と共に進化をとげた地域のものです。特にインド更紗やパトラサリーの経緯絣りは、そのまま王家で使われたものもあり、パトラのパンツを履いた王族の写真には驚かされました。
 今回は織物作家であり、インドネシア染織の研究に生涯をかけている渡辺万知子氏の御協力のお陰で色々教えて頂き、この展覧会にこぎつけました。
表紙の更紗はジャワ島 北部ペカロンガンで作られたものですが、当時、世界を驚かせた気球(バルーン)が、空に浮かぶ新しいテーマで、色も鮮やかな化学藍で量産化の為に作られたチャップと云う銅版と手描きを併用し、かつての古典的王家の禁制の文様とは違う自由な夢のある更紗です。