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「アフリカの衣装 -大胆なデザインと繊細な手仕事」
2013年5月2日 - 8月17日

 アフリカの衣装は、私達のコレクションの中でも重要な位置を占めています。
 インド、アフガニスタン、タイ、インドネシア……と、アジアの布に夢中になりましたが、アフリカの布を初めて見たのは、70年代以降でした。既にヨーロッパ、アメリカでは画家や収集家の注目を浴びていましたが、日本ではほとんど知られていませんでした。どれもダイナミックな手仕事の面白さの残る布は、幾何文が圧倒的で、草花を主とする具象文を見慣れた目には、まるで、ジャズの世界に引き込まれた様な新鮮な驚きでした。しかも、広大なアフリカ大陸には多様な民族が住み、それぞれの神話や信仰に基づく世界観から得た独特の染めや織りが息づいています。
 今回の表紙に使われている布もラフィア椰子の繊維を使っていますが、柔らかくなるまで叩いて、滑らかな美しい布地に仕上げ、その上に記号の様な丸みをおびたアップリケが施されています。しかもランダムにまき散らされ、何を意味しているのか、思わず引込まれます。クレーの絵の様なこの文様の布は、ンチャックと呼ばれ、クバ族の女性の死装束にも使われる大事な布で、一生かかっても数枚しか出来ないそうです。細かい根気のいる針仕事で接ぎ合わされていますが、その表現するものは、実に豊かです。人類発祥の地のアフリカには数千年も昔から伝えられた、先祖伝来のテキスタイルがあり、今も人々の中に受け継がれています。
 先日、鎌倉の神奈川県立近代美術館でエル・アナツイと云うナイジェリアで活躍する造形作家が、壁一面に、缶やキャップの小さな金属片を無限に繋げた、波打つ巨大な壁面を作りました。風が吹くとサヤサヤと揺れ、光の反射がマッチして今まで見た事もない新しいアートを作っていました。身近にある素材は変わっても先祖から受け継いだ物作りの大胆な発想と細かい手仕事が今も健在で、ほっとしました。
本展では中央・西アフリカのものをはじめ、世界の染織の一つの原点でもある、古代エジプトのキリスト教徒によって織られた「コプト裂」も公開します。アフリカの魅力を再発見して下さい。イギリスより染織研究家のJohn Gillow 氏、アフリカ美術研究家で「㈱ 東京かんかん」代表の小川弘氏を迎える、貴重な講演会も企画しています。