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「生命の樹をめぐる」

2019年4月11日 - 7月13日

生命の樹をめぐる
岩立 広子

 人生の大半を旅から学んできた私にとって、インドで過ごした時間はどれくらいになるか数えてみた。渡航回数は80回なので、1回の日数を平均35日とすると、実に2800日となる。7年と306日。約8年近くインドで過ごしたことになる。その間、生命の樹の恵みを、実感としてどれほど受けたことか。

 どの樹木も地下から吸い上げた水を逆三角形にのびた枝葉を通して思いっきり太陽に向かって葉をひろげ、花を咲かせ実を結ぶ。そして木陰をつくってくれる。その情景を主題にした壁掛けが、インドのコロマンデル海岸でつくられた、カラムカリと呼ばれる木版更紗である。同時にイランでも、全く同じデザインの布がつくられた。拝火教の人々が、糸杉が天に向けてのびるモチーフに、永遠の生命を重ねて使う様になった。

 生命の樹は、木版更紗以外に、カッチ地方のアップリケの壁掛け、ベンガル地方のカンタのデザインにも見られる。吉祥のデザインとして、四隅から中央に向かって描かれたり、樹木だけで構成されたものもある。特にイスラーム圏のものに樹木が多い。今回はそれらの、私達がとても大切にしてきた主題をテーマに選んだ。準備中に偶然イランのJahanara女史が来館され、ラッキーにもご協力下さることを約束して下さった。素晴らしい偶然が重なり、講演もお引き受け下さる事になった。楽しみです。